武人茂木の電話メモ

茂木くん、という男の子がいます。仮名です。仮名茂木くんは昨今珍しい日本男児で、実に印象深い方ですので少しばかりご紹介させていただければと存じます。

まず、この茂木くん、かなりの空手マスターなのです。空手だけではなく、柔道と合気道とあと…なんでしたっけ、ちょっと忘れましたが合計五つの武道の達人なのです。まさかあのメガネくんが?と聞いた時は思わずのけぞりましたが、確かにおしゃれなめがねをかけて文化系っぽく見えますけれど肩はしっかりしているわ胸は厚いわで、なるほど、言われてみれば体を鍛えている人らしく見えます。正真正銘の文化系、杉橋くん(仮名です)と比べると、まぁ1.5倍はありますね。もっとも仮名茂木くんは太っているわけではないのですが。

しかしいくら空手マスターの黒帯所持者だとしても、普通会社においてその武道の腕前が業務に直接的に生かされることはあまりありません。というか、そんなに日常的に武道が必要とされる会社って警備会社でもない限りだいぶ問題ありでしょう。ですから仮名茂木くんがあなどれない男だとわかっても「ふーん、すごいねぇ」ですっかり忘れていたのですが、先日別のところで彼の武人ぶりに「あやや」と思わされました。

それは電話メモです。

電話メモというか伝言メモというか、他の人あての電話をとってしまったり、伝言を頼まれたりした場合メモを書きますが、このメモの字が剛の男、茂木くんは実に達筆なのです。鉛筆で書いてあるにも関わらず、墨あとも清々しい毛筆のもののように思えます、あまりにうまかったので思わず彼の伝言メモをファイリングしてしまいました。中身は「小包が届いているので受付に取りに来てください」というだけだったのですが。

本人に「上手ですねぇ」と言ったところ、実に素直に嬉しそうな顔をして「実は五段なんですよ」と秘密をあかすみたいに教えてくれました。五段。彼は段位にふさわしいだけの男です。実は恥ずかしながら私も書道は二段なのですが、しかしこれは名ばかりでございます。いやぁ、武道は道、という言葉が含まれますから単なる技術ではなく心構えも含むことでしょう。彼の毛筆のごとき電話メモもきっと日本古来の武道の何かが息づいているにちがいありません。何かってあたり適当でわかっていないのですが、しかし武道的なオーラにあやかるべく、電話メモはまだ捨てずにあります。

お風呂場で見ると怖い物。

私は小さい頃から怖がりな性格です。

怖い話を聞いたり、怖い映画を見た後には必ずお風呂やトイレに入るのが怖くなります。

しかしその事を自分で判っていながらも、怖い物が大好きなのです。

先日も怖いと評判のホラー映画を借り、見る事にしました。

予想以上にリアルで、お風呂に入っている最中はずっと背後を気にしていました。

私の性格を誰よりも知っている母にはいつも「だから見なかったら良いのに」と言われていました。

実家に居た頃は恋人と一緒に居る時間も無く、いつも一人でDVDなどを見る事がありました。

一人で見る時には、ほとんど怖いホラー映画を見ていました。

そしていつも慣れているはずの実家のお風呂を、異様に怖がっていました。

「もしも何か出たら…」という想像だけが膨らんでいました。

しかし一度だけ、心霊体験ではありませんが…。

お風呂場で心臓が止まりそうな程、怖い体験をした事がありました。

丁度3年程前の出来事ですが、当時の私は常にショートカットにしていました。

仕事に行く時などには、そのままショートで出勤していました。

しかし普段お出掛けをする際には、ウィッグなどを愛用していました。

ウィッグならお風呂に入る時だけ外す事が出来ます。

外し忘れてお風呂に入ってしまうと、水で痛んでしまうので十分に注意をしていました。

そんなある日、友人達と飲みに行きほろ酔いの状態で家に帰る事がありました。

次の日は朝から仕事があった為、お風呂に入る事にしました。

いつも通りシャワーを浴びて、髪の毛を洗っていると…。

ふと足元に違和感がありました。

何かと思い下を見てみると、長い髪の毛が私の足に絡まっていたのです(--;)

もちろんそれは私が外し忘れたウィッグです。

酔っ払っていない状態ならスグに気付く事が出来ますが…。

その時は判断力も無くなり、一瞬で心臓が止まる思いをしました。

真夜中だと言うのに大声で叫んでしまい、後から母に怒られてしまいました(^^;)

例えウィッグだと判っていても、お風呂場で見る長い髪の毛は非常にインパクトがあります。

それ以来必ずウィッグは外した事を確認してからお風呂に入るようにしていました。

結局その時のウィッグは水に濡れてしまい使えなくなりましたが…。

本当に心臓が止まってしまわなかっただけ、まだマシではないかと思いますね。